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エクソンモービル(XOM)投資分析レポート

1. 企業概要

エクソンモービルは、世界最大級の統合エネルギー・石油化学企業であり、エネルギーセクターにおいて指導的な地位を占めています。同社の事業は、探査・生産から精製・販売に至るまで、石油・ガス産業のバリューチェーン全体を網羅しており、その規模と統合された事業モデルは、世界経済の根幹を支える重要な役割を果たしています。この統合ビジネスモデルの理解は、変動の激しいエネルギー市場における同社の財務的耐性と競争優位性を評価する上で極めて重要です。

以下に、エクソンモービルの基本的な企業データをまとめます。

  • 会社名: Exxon Mobil Corp (XOM)
  • 事業内容: 石油、ガス、および石油化学製品の探査、開発、および販売。上流部門(原油・天然ガスの生産)、下流部門(石油製品の製造・販売)、化学部門(石油化学製品の提供)で事業を展開。
  • 設立: 1882年
  • CEO: Darren W. Woods
  • 従業員数: 61,000人
  • 時価総額: 580.20B USD
  • PER(株価収益率、直近12ヶ月): 19.87
  • EPS(1株当たり利益、直近12ヶ月): 6.91 USD
  • 配当利回り(予想): 2.99%

この基本情報を踏まえ、次に同社の財務状況を詳細に分析し、その収益力と安定性を評価します。

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2. 財務分析

企業の財務状況を評価することは、その本質的な価値と持続可能性を理解する上で不可欠です。このセクションでは、エクソンモービルの財務諸表を基に、収益性、財務健全性、そしてキャッシュフローという3つの重要な側面から、同社のファンダメンタルズを詳細に分析します。

2.1. 収益性分析

エクソンモービルの収益性は、エネルギー市況の変動を受けながらも、その巨大な事業規模と効率的な運営によって支えられています。しかし、その業績は市況への感応度が極めて高いことも事実です。例えば、高い収益性を維持する一方で、直近の四半期(2025年第3四半期)では前年同期比で純利益が12.33%減少し、それに先立つ第2四半期も23.35%の減少となっており、市況の軟化が利益水準に直接影響していることが示されています。

以下は、同社の収益性と資本効率を示す主要な指標です。

指標最新値
ROA(総資産利益率)6.54%
ROE(自己資本利益率)11.32%
ROIC(投下資本利益率)10.00%
売上総利益率22.47%
営業利益率11.07%
当期純利益率9.05%

これらの指標は、エクソンモービルが資産や自己資本を効率的に活用し、堅実な利益を創出していることを明確に示しています。特に、11.32%というROEは、株主資本に対して高いリターンを生み出しており、株主価値創造能力の高さを物語っています。

2.2. 財務健全性分析

貸借対照表を見ると、エクソンモービルの強固な財務基盤が確認できます。総資産は最新四半期(2025年第3四半期)時点で454.34B USDに達しており、安定した資産構成を維持しています。

同社の負債水準と支払い能力を評価する主要な指標は以下の通りです。

  • 総負債: 最新四半期時点で42.04B USDと、巨額の資産に対して管理された水準にあります。
  • 自己資本比率: 総資産(454.34B USD)に対する自己資本(268.22B USD)の比率は約59.0%に達しており、極めて健全な財務体質を示しています。
  • DEレシオ(負債資本倍率): 最新値は0.16と非常に低い水準です。これは、自己資本に比べて負債が少なく、財務レバレッジが低いため、金利変動などの外部環境の変化に対する耐性が高いことを意味します。
  • 流動比率: 最新値は1.14であり、短期的な債務返済能力に問題がないことを示しています。

これらの指標から、エクソンモービルは保守的な財務戦略を維持し、高い安定性を確保していると評価できます。

2.3. キャッシュフロー分析

キャッシュフローは、企業の事業活動から生み出される現金の流れを示す、最も重要な指標の一つです。エクソンモービルのキャッシュフロー計算書は、同社が潤沢な現金を創出する能力を持っていることを明確に示しています。

企業の核となる事業の強さは明らかであり、直近12ヶ月で51.52B USDの営業キャッシュフローを創出しています。これは、23.84B USDの投資活動を余裕で賄うものであり、その結果として株主還元や債務管理に充当可能なフリーキャッシュフロー(FCF)23.77B USDという巨額に上ります。この潤沢なFCFこそが、セクション4で詳述する、同社の安定した配当成長を支える主要な原動力であり、その投資魅力の根幹をなすものです。

強固な財務基盤とキャッシュ創出力は、企業の安定性の証です。次に、これらの基盤の上にどのような成長戦略を描いているのかを見ていきましょう。

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3. 成長性と事業構成

企業の持続的な成長性を評価することは、将来の株価パフォーマンスを予測する上で不可欠です。ここでは、エクソンモービルの過去の成長実績と将来の業績予測を分析し、その多角的な事業構成がどのように成長と安定性に寄与しているかを考察します。

3.1. 成長トレンドと将来予測

同社の事業の景気循環的な性質は、近年の業績に明確に表れています。損益計算書データ(IMG_7490)によると、エクソンモービルは5四半期連続で前年同期比の純利益減少を記録しており、直近の四半期(2025年第3四半期)は4.29%の減収となっています。この最近の下降トレンドは、将来のアナリスト予測を評価する上で考慮すべき重要な要素です。

アナリストによる将来の業績予測は、今後の見通しを判断する上で重要な参考情報となります。

  • 次回の決算報告: 2025年第4四半期
  • 予想EPS: 1.70 USD
  • 予想売上高: 80.63B USD

これらの予測は、現在の逆風にもかかわらず、市場が同社に対して安定した業績を期待していることを示しています。

3.2. 事業セグメントと地域別売上構成

エクソンモービルの強みの一つは、事業と地域の両面で高度に分散化されたポートフォリオです。2024年の売上構成は以下の通りです。

  • 事業セグメント別売上:
    • Energy: 260.86B USD
    • Upstream: 37.13B USD
    • Chemical: 22.90B USD
    • Specialty: 18.25B USD
  • 国・地域別売上:
    • United States: 138.66B USD
    • Non-United States: 120.80B USD
    • Canada: 29.75B USD
    • United Kingdom: 20.58B USD

このように、特定の事業や地域に過度に依存しない収益構造は、地政学的リスクや特定の市場の景気後退に対する耐性を高めています。この分散化された事業基盤が、長期的な収益の安定性に大きく貢献していると言えるでしょう。

安定した事業基盤から生み出される利益が、どのように株主に還元されているのかを次に見ていきます。

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4. 株主還元(配当分析)

エクソンモービルのような成熟した大企業にとって、配当は投資家にとって重要な魅力の一つです。安定した配当の支払いは、企業の財務的健全性と株主を重視する経営姿勢の証となります。このセクションでは、エクソンモービルの配当政策の安定性と持続可能性を分析します。

以下は、同社の配当に関する主要なデータです。

  • 配当利回り(直近12ヶ月): 2.91%
  • 1株当たり年間配当金の推移: 2020年の3.48 USDから2024年の3.84 USDへと、着実に増加しています。この長年にわたる増配の実績は、同社が安定してキャッシュを生み出し、株主還元にコミットしていることを示しています。
  • 配当性向: 2024年の配当性向は49.00%となっています。これは、利益の半分程度を配当に充てていることを意味し、将来の事業投資のための内部留保を確保しつつ、配当を維持・増加させる余力を十分に有していることを示唆しています。
  • 直近の配当情報: 直近の配当落ち日は2025年11月14日、支払日は2025年12月10日を予定しています。

総じて、エクソンモービルの配当は安定的かつ持続可能であり、インカムゲインを重視する長期投資家にとって非常に魅力的です。この株主還元策を踏まえ、現在の株価が割安か割高かを判断するバリュエーション分析に移ります。

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5. バリュエーション分析

バリュエーション分析は、企業のファンダメンタルズに対して現在の株価が適正な水準にあるか、つまり割安か割高かを判断するために不可欠なプロセスです。ここでは、複数の評価指標を用いてエクソンモービルの株価を評価します。

以下は、主要なバリュエーション指標の現在値です。

評価指標現在値
PER(株価収益率)19.87
PSR(株価売上高倍率)1.80
PBR(株価純資産倍率)2.21
株価キャッシュフロー倍率11.38
EV/EBITDA倍率10.18

現在のPER 19.87倍は、過去1年間の大半で観測された14倍から16倍のレンジと比較して、著しいバリュエーションの拡大を表しています(IMG_7493)。これは、株価が力強い上昇トレンドにある一方で、もはや「割安」な領域にはなく、市場がほぼ完璧な事業遂行を織り込んでいる可能性を示唆しています。

これらの指標は、企業を評価する上での一つの側面に過ぎません。ファンダメンタルズに基づく評価に加え、市場のセンチメントや株価のモメンタムを測るために、次にテクニカル分析を行います。

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6. テクニカル分析

テクニカル分析は、過去の株価や取引量のデータを用いて、将来の株価動向や市場心理を予測する手法であり、ファンダメンタル分析を補完する重要な役割を果たします。

テクニカル指標のサマリーによると、エクソンモービルの総合評価は「強い買い」となっています。この評価は、移動平均線とオシレーターの分析に基づいています。

  • 移動平均: 評価は「強い買い」です。短期(10日)から長期(200日)までの単純移動平均(SMA)および指数平滑移動平均(EMA)がすべて「買い」シグナルを示しており、これは株価が強力な上昇トレンドにあることを強く示唆しています。
  • オシレーター: 評価は「買い」です。多くの指標が「買い」または「中立」を示していますが、いくつかの点には注意が必要です。
    • **RSI(相対力指数)**は74.54と、一般的に買われすぎとされる70を超えています。
    • **CCI(商品チャネル指数)**は243.67と非常に高い水準にあり、「売り」シグナルを発しています。

これらのオシレーター指標は、現在の力強い上昇トレンドの裏で、短期的な株価の過熱感が高まっている可能性を示唆しています。

週足チャートを見ても、株価は明確な上昇トレンドを描いています。しかし、ここでもRSIが82.20と80を超えており、買われすぎのシグナルが点灯していることから、短期的な調整の可能性には留意が必要です。

テクニカル的には強い上昇トレンドが確認できますが、過熱感の兆候も見られます。最後に、これら全ての分析を統合し、総合的な投資判断を導き出します。

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7. 総合評価と投資判断

本レポートでは、エクソンモービルのファンダメンタルズとテクニカル指標を多角的に分析してきました。ここでは、それらの分析結果を統合し、投資対象としての同社の強みと弱みを整理し、最終的な結論を提示します。

7.1. 強み (Strengths)

  • 安定した収益性と高い資本効率: ROE(自己資本利益率)は11.32%と高く、株主資本を効率的に活用して利益を生み出しています。
  • 強固な財務基盤: 潤沢なフリーキャッシュフロー(直近12ヶ月で23.77B USD)と、0.16という極めて低いDEレシオが、高い財務安定性を示しています。
  • 積極的な株主還元: 長年にわたる増配実績と持続可能な配当性向は、インカムゲインを求める投資家にとって大きな魅力です。
  • 分散化された事業ポートフォリオ: 事業セグメントと展開地域の両面で分散が図られており、特定の市場や地政学的リスクに対する耐性が高い構造となっています。

7.2. 弱み (Weaknesses)

  • 業績の景気循環性: 売上高や利益が石油・ガス市況に大きく左右されるため、四半期ごとの業績変動は避けられません。
  • 根強い収益の逆風: 同社はその巨大な規模にもかかわらず、広範なエネルギー市場の価格変動から免れることはできず、5四半期連続で前年同期比の純利益減少に直面しています。
  • 短期的な株価の過熱感: テクニカル指標(日足RSI 74.54、週足RSI 82.20)が買われすぎの領域に達しており、短期的な価格調整のリスクを示唆しています。

7.3. 結論

エクソンモービル(XOM)は、強固な財務基盤、安定したキャッシュ創出力、そして株主還元への強いコミットメントを兼ね備えた、エネルギーセクターの優良企業です。事業と地域の分散化によるリスク耐性も高く、長期的な資産形成を目指す投資家にとって、ポートフォリオの中核となり得る魅力的な投資対象と言えるでしょう。

しかし、投資家は、近年の第2四半期に見られた前年同期比23.35%の純利益減少に代表されるような、事業固有の循環性に備える必要があります。このボラティリティと、信頼性の高い約3%の配当利回りを比較検討することが求められます。現在の株価はテクニカル的に強い上昇トレンドにあるものの、短期的な過熱感も指摘されており、投資のタイミングについては慎重な判断が必要です。

結論として、エクソンモービルは長期的な安定性と配当を重視する投資家にとって有望な選択肢ですが、市況変動リスクと短期的な株価のボラティリティには十分な注意が必要です。

免責事項: 本レポートは、提供された情報に基づく分析であり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の投資目標、財務状況、リスク許容度を慎重に検討の上、自己の判断と責任において行ってください。

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